CRUISE No.2
玉川の水からSDGsを学ぶ
取材クルーザーかんたまる
井戸の底から未来を考える 〜水源施設とSDGsの授業〜
玉川学園では、自然に囲まれたキャンパスを活かして、さまざまな体験型の学びを行っています。2025年6月、農学部1年次セミナーの授業の一環として、STREAM Hall 2019にて「SDGsと玉川学園の水環境」についての講義が行われ、実際に玉川学園の水を支える「第2水源池」の見学会も実施されました。 当日は総務部管財課の岩内課長が講師を務め、玉川学園の井戸水のしくみや水の安全を守る工夫、そして自然と水のつながりについてわかりやすく解説してくださいました。

玉川学園には4つの水源がある!
玉川学園のキャンパスでは、第1水源池から第4水源池まで、合計4本の井戸から水をくみ上げています。これらの水源は地下210メートルほどの深さから汲み上げられており、それぞれ地層の違いにより水質が異なります。
この授業では、「硬水と軟水」の違いについても学びました。
たとえば「硬水」は、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを多く含んでいて、少し苦みを感じることもあります。海外ではよく使われています。一方、「軟水」は日本で一般的に使われていて、クセがなく飲みやすいのが特徴です。料理やお茶にもよく合う水です。 玉川学園の井戸水は、たとえば第2水源池が比較的硬度が高く(硬水寄り)、第3水源池は軟水により近いなど、それぞれに個性があります。授業では実際の水質データも紹介され、水の味や性質の違いがなぜ生まれるのかを科学的に学ぶことができました。

井戸から蛇口へ、水のストーリーを体感
授業のあとは、実際に第2水源池の見学が行われました。
ここでは、玉川学園の水をくみ上げ、ろ過して消毒し、学内に届けるまでの工程を、設備を目の前にしながら学ぶことができました。
学生たちはまず、地下210メートルから水をくみ上げるポンプの仕組みについて説明を受けました。
続いて、その水がどのようにしてゴミやにごりを取り除く「ろ過装置」を通り、さらに安全にするための「消毒設備」で処理されているのかを、実物を見ながら理解を深めました。
ろ過装置では、石や砂、セラミックなどの層がフィルターの役割を果たし、水をきれいにしています。
そのあと、次亜塩素酸ナトリウムという薬品を使って消毒を行い、安心して飲める水として学内に送られていることがわかりました。
また、水源を長く守るためには自然環境の保全も重要であることが紹介されました。
特に、山の木々や土が雨水を地中にしみこませ、地下水として蓄える「みどりのダム」の役割を果たしていることや、森林が地球温暖化を防ぐために二酸化炭素を吸収してくれていることも学びました。
見学を通して、ただ「水が出る」という当たり前のことの裏に、自然と人とのつながりや、さまざまな工夫があることに気づくきっかけとなりました。

自然を「感じて」「考える」学びへ
玉川学園では、井戸水という身近な資源を通して、水・森・人のつながりを体感的に学ぶ機会を大切にしています。
今回の授業と見学を通じて、水のありがたさや、自然とともに生きる知恵を考えるきっかけになりました。
〜自然とつながるキャンパスの学び〜
玉川学園のキャンパスは、約61万㎡の緑豊かな環境に囲まれています。
この自然の中で、水を通して学べるのが、玉川ならでは教育環境です。
水はただの資源ではなく、自然や社会、未来をつなぐカギ。
だからこそ、玉川では「水」をひとつの教材として、環境への理解を深めています。
これは、1929年にこの地を選び「地球は我らの故郷なり」という言葉を伝えたい創立者 小原國芳先生の想いにもつながっています。
自然とともに学ぶ姿勢は、今もこのキャンパスに息づいています。
これからも玉川学園は、自然を“生きた教材”とした持続可能な学びを広げていきます。